「いつでも里親募集中」を見ると、里親さんに、
【猫を譲渡するための条件】をたくさん出している募集を多く見かけます。
見る方からすれば「なんでこんなに??」とぎょっとするかもしれません。
かくいう私も条件をたくさん出す方なのですが、
「こんなにいろいろ言って、里親希望さんがあらわれなかったらどうしよ;;」
と不安になりつつ。
「条件減らして里親詐欺にひっかかったら、後悔だけじゃすまない;;」
と確実な里親さんを探す決意を新たにするという感じ。
日々心が揺れます。
この項目は、不安に揺れつつ里親募集をする保護主さんと、
条件の多さに不安を感じていそうな、里親希望者さんのために作りました。
これ↓は、実際に私が里親さんを募集する際に掲載した【条件】。
★終生家族としてかわいがっていただける方
★完全室内飼育にご同意いただける方
★脱走防止に十分な配慮をいただける方
★ペット飼育可住宅にお住まいの方
★猫の飼育について、家族の同意を得ている方
★猫が病気や怪我をした際、適切な医療ケアを約束してくださる方
★年に1〜2度、負担にならない範囲で、写真付きで様子を知らせてくださる方
★アンケートと誓約書の記入・捺印に同意してくださる方
★身分証の提示に同意してくださる方
★携帯電話・携帯メールからの連絡はご遠慮ください。
★飼育環境の確認もかねて、猫は必ずお届けに上がります。これらには主に、
1. 譲渡される人の飼育環境やペットに対する意識の確認
2. ひやかし・里親詐欺の予防
の2つの意味があります。
保護主さんによって、言い回しが異なりますが、
まあだいたいこんなものだろうということで、
一つ一つの項目について見ていきたいと思います。
【終生家族としてかわいがっていただける方】誤解を恐れずにいいますが、
猫を飼うことはそれほど難しいことではないと、わたしは思います。
ほとんどの猫は小さな、おとなしい生き物です。
でも、だからこそ、
終生飼育は最低限の条件であると思っています。
長く飼っていれば、病気や怪我をすることもありますし、
年を取れば介護が必要になったりもします。
そうなればお金もかかりますし、手間も暇もかかるようになるでしょう。
人間側が病気になったり、仕事を失ったりするかもしれません。
しかし、最後まで責任をもって家族として面倒を見る、という覚悟があれば、
ほとんど大抵のことは乗り越えられます。
猫を飼うためにいちばんに必要なことは、その覚悟かもしれません。
終生飼育と改めてお願いするのは、
もちろん実際に天寿を全うするまで、猫を見守っていただきたいからですが、
覚悟をしっかり持ってもらうという意味合いもあると思います。
本当の本当に現実として考えた場合、厳密に約束できないことだと思うんですよね・・・
(個人的な考えですが、猫にしても人間にしても、確実なことは何もないと思っていますので)
今日突然、不慮の事故で死んでしまうことだってあり得るわけで、
そういう時、親戚や知人に猫を確実に引き取ってもらえない人は不可、
とまでは、わたしには言えません。
(そういう譲渡条件を出している人もいると思います)
でも、もしもの時のことまで考えて欲しい、
とは思っていますし、お願いもしますけどね。
この条件が一番求めているのは覚悟、なんだと思います。
【完全室内飼育にご同意いただける方】
【脱走防止に十分な配慮をいただける方】何故、完全室内飼育を約束していただくかと言うと、
もちろん
猫の安全のためが一番の理由ですが、
世の中には「猫嫌い」という人もかなり多くいまして、
そういう人たちに迷惑をかけないためでもあります。
昨年行われた内閣府の
「動物愛護に関する世論調査」によりますと、
【ペット飼育の好き嫌い】は、
・好き(大好き+好きな方)72.5%
・嫌い(嫌いな方+大嫌い)25.1%で、つまり
4人に1人はペット嫌いな人がいるわけです。
実はわたしはこれを見て、予想よりもかなり多い割合に本気でびっくりしました。
同じ調査の、【ペット飼育による迷惑】という質問の回答は、
・散歩している犬のふんの放置など飼い主のマナーが悪い(55.9%)
・猫がやって来てふん尿をしていく(37.8%)
・鳴き声がうるさい(31.7%)となっており、ペットに対する嫌悪と、
飼い主に対する嫌悪が、同時に発生してることがわかります。
また、糞尿被害に対しての反発がとても強いです。
つまり何がいいたいかというと、
外での行動を飼い主が管理することのできない猫の場合、
完全室内飼育以外に周囲への迷惑を防止する策はないということです。猫嫌いの人に、猫が迷惑をかけることで、
野良猫や野良犬の虐待、毒餌の散布などを誘発することもあります。
人間同士のトラブルに発展した場合、和解は相当難しくなります。
動物を家の中に閉じ込めておくなんてかわいそう、と
完全室内飼いを否定する人もいますが、
残念ながら現在の日本では、都会・田舎を問わず、
動物が外で暮らせるすき間はほとんど残っていません。
【完全室内飼い】は必ず守ってくださいね。
そして【脱走防止】は、【完全室内飼い】とセットです。
以前は、猫の半外飼いは普通のことでした。
それに加えて猫は野生が強く残っているから大丈夫、と
脱走について軽く考える人もいますが、
家の中だけで飼われている猫は、外で生きていくために必要な経験もなにもありません。
自動車事故や、餓え・乾き、寒さ・暑さ、病気など、死に直結する危険ばかりですので、
決して軽く考えないでください。
【ペット飼育可住宅にお住まいの方】
【猫の飼育について、家族の同意を得ている方】こちらも最低条件になります。
持ち家の一戸建てか、ペット飼育が管理規約で許可されている物件にお住まいの方にしか、
猫の譲渡はできません。
家族の同意については、これは必ずお子さんも含めて、
同居する全員に確認してください。
↑に書いたとおり、4人に1人がペット嫌い、
この中には、糞尿被害にあったなど、理由があることもあれば、
特に理由はないけれど、どうしても猫を好きになれない、という人もいます。
お子さんが、実は猫は好きじゃない、という事も十分あり得ます。
また、猫が好きでも動物アレルギーということもあります。
最近のお子さんは、強度のアレルギーを持っていることも多いので、
もしお子さんがアレルギー体質でしたら、
同意とともに、必ず事前に病院で検査をしてください。
アレルギー検査は、もしすでに何らかのアレルギーが発症している場合は、
まずはその診療科目(皮膚科・耳鼻咽喉科・眼科など)で相談するのが良いと思います。
これまで症状のない方の場合は、行きつけの内科病院に相談するか、
アレルギー科のある病院で検査してもらうことが出来ます。
猫を迎えてから、家族が動物アレルギーだったから返したい、
引き取ってもらえないなら保健所に連れて行く、
という話は残念なことに非常に多いです。
これはもうホントに動物アレルギーだったら、しょうがないことではあるんですが、
保護主さんのがっかり感、環境の変化が続くことによる猫のストレスを考えると、
はんぱなく困ることです。。。
しかも半分脅しだてるし。。。
事前に検査できることですので、必ず確認をお願いします<(_ _)>それから、お子さんの場合、本人は大丈夫でも、
仲の良いお友達が強度の動物アレルギーだったりしますと、
遊びに来ることはもちろん、教室でいっしょにいることも難しくなることがあります。
そういうこともしっかり話し合っていただければと思います。
・・・・ということを書いていたら、
動物アレルギーについても別項設けた方が良さそうな気がしてきましたので、
また改めて書きますね。
【猫が病気や怪我をした際、適切な医療ケアを約束してくださる方】なにも特別なことではなく、
年に一度のワクチン接種(初回の場合は一ヶ月後にもう1回摂取)の他、
猫が怪我をしたり、具合が悪くなったとき、
病院に連れて行ってくださいというお願いです。
子猫の場合は不妊手術も含まれます。
世の中には、「動物に贅沢をさせない」「ペットにはお金をかけない」
と言って、ペットが病気になっても、怪我をしても、放置する飼い主がいるのです。
きちんとした里親さんには逆の意味で誤解されたりするかもしれませんね。
どこまで完璧に面倒を見ればいいの!? と。
でもペットが病死したにも関わらず、
「自然死だった」とうそぶくのような人も本当にいるので(!)
事前に言葉にして確認しておくことが大事なのです。
どうぞご理解ください<(_ _)>
【年に1〜2度、負担にならない範囲で、写真付きで様子を知らせてくださる方】
【アンケートと誓約書の記入・捺印に同意してくださる方】
【身分証の提示に同意してくださる方】
【携帯電話・携帯メールからの連絡はご遠慮ください。】
【飼育環境の確認もかねて、猫は必ずお届けに上がります。】このあたりから、しっかりした里親さんに猫を渡したい、という意味合いとともに、
ひやかし・里親詐欺の予防も含まれてきます。
里親詐欺とは、
・虐待目的で動物を集めている
・動物実験業者、三味線の皮革業者などへの転売目的で引き取る
・有料で里親捜しを手伝うといって金を集め、動物を預かったらそのまま放置するか、遺棄するような人たちで、
特に下2つは金銭的な利益目的で、他人をだまして収入を得るという観点からも、
立派な詐欺行為に当たります。
虐待目的は言わずもがな、犯罪です。
昨年2010年にも、名古屋で20代男性による猫の虐待が発覚しました。
インターネットの里親募集サイトなどを通じて、
少なくとも10匹は子猫を集めていた…ということはだまされた被害者がいるということです。
(そのうち2匹は、この男性の対応に疑問をもった保護主が取り返したそうです。
眼球の出血や深爪などの虐待跡が見つかったことから、
警察に被害届を出し、そのことから事件が発覚しました)
この男性は、猫の死体を部屋の窓から投げ捨てたり、
また部屋の中が異様に汚いなど、
かなり精神を病んでいるようにも思われますが、
新聞記事などを読む限りでは、
自分の犯罪を隠そう・軽く見せようとしており、
正常を装うだけの正気は残っていたのではないか、と思います。
私は、実際の里親詐欺の被害にあったことはないのですが、
お金のありそうなところに食いついてくる怪しげな人たちのことは知っています。
ああいう人たちが
本気で騙しに来たとき、普通の人間が太刀打ちできるのでしょうか。私は自信がありません(;´ρ`)
ですからハードルを上げて、予防線を張ります。
彼らは、連絡先や氏名などを特定されることを避けますし、
尻尾をつかませまいと行動しますから、
・身分証の提示
・自宅への訪問
・誓約書への捺印を渋る人は、里親詐欺の疑いを持っていいと思います。
・携帯電話でのみの連絡は不可というのも、里親詐欺を防ぐためには有効だと思います。
ただ、最近は固定電話を引かない人も多く、
インフラ的に確かに固定電話にメリットがないなーとわたしも思うので、
そういう方の場合は、住所が記載された身分証の提示で代替できるのはないかと思います。
よく知らない人に、ご自分の身分証を見せるのは不安、という方もいらっしゃるかも。
お気持ちもわかりますので、
保護主さんの身分証も同時に提示して、お互い確認するようにしてはいかがでしょうか?
ただ、身分証は提示にとどめ、コピーはとられないようにしてくださいね。
個人情報はうっかり流出すると本当に怖いですからね^^;
また、不安と言えば、自宅に訪問されるのが不安という人もいるかもしれません。
(お届け時のことです)
私もお見合いのためとはいえ、自宅に知らない人にあがってもらうのは、
怖いし、不安なのでよくわかります^^;
事前にメールでその不安を払拭すべく、やりとりをして、
大丈夫そう・・と思ってからお見合い日時を設定するわけですが
当日、玄関先でお会いした人が、
ちゃんとした人、普通の人だったときの安堵感ははかりしれません。
って大げさかな^^;
でも、だからこそ、一度は実際にお会いしてよく話し合い、
信頼できる人かどうか見極めるのが、お互いに大切なことだと思っています。
・年に1〜2度、負担にならない範囲で、写真付きで様子を知らせてくださる方というのも、里親詐欺への予防策です。
虐待目的にしても、転売目的にしても、
1年後・2年後の写真を撮って送るなんてことは約束できませんから、
後ろ暗い人はなんのかんのと言ってきます。
単に、猫が元気にしているか知りたい、ということではないのですよー。
いえ、様子がわかればものすごく嬉しいですが!!
・保護猫にかかった医療費の負担を求めるのも、里親詐欺にひっかからないための方策として有効です。
特に転売目的の里親詐欺の場合は、金銭目的ですから、
かなりの予防策になると思います。
猫を保護し、里親さんを探す、という活動を継続して行っている保護主さんの場合、
医療費の負担を求められるケースが多いと思いますが、
実際に万単位でお金のかかることでもあります。
↓はわたしがお世話になっている病院の場合ですが
(2カ所にお世話になってます〜!)
金額のご参考までに。
【野良猫を保護した時に行う基本的な医療ケア】
・検便(寄生虫などの検査のため):1000〜1500
・猫ウィルス検査(FIV・FeLV):3000〜5000
・ワクチン(3種の場合):3000〜5000を2回
※初年は、初回の一ヶ月後にもう一回摂取することが推奨されてます。
・避妊去勢手術:10,000〜30,000(入院・麻酔費用などの諸費用含む)
・ノミ・ダニの駆虫:1000〜1500
・初診料:500〜1000
だいたい平均して20,000〜30,000なのではないかと思います。
(避妊去勢手術代は♂♀、病院ごとに異なります)
意外と高いので驚く方もいるかもしれません。
実際にはこのほかに餌代などなどかかりますけれども、
病院への交通費や冷暖房費まで負担を求める保護主さんは少ないのじゃないかな。
どうぞご理解いただきたいと思います<(_ _)>
・・・と長々述べてきましたが、
なんでこんなに条件が多いの? という疑問に答えられているでしょうか(;´ρ`)
それぞれの項目の解釈について、間違いや説明不足などありましたら、
コメントでガシガシ指摘してくださいね!